六塚光公式ブログ


by crax_alexey

下読みのススメ

 下読み作業を粛々と進行中。なんというか、面白くない投稿作品というのはある程度傾向が見えるような気がするね。というわけで、ちょっと自分のためにメモしておこう。

1:あらすじがあらすじになってない

 大抵の賞では応募要項としてあらすじをつけることになっているのだが、こいつが「主人公の運命やいかに――!」的なあおり文句で終わっていると、いきなりがっかりする。

 投稿作品についてアドバイスする本やらサイトやらでは「あらすじはきっちりオチまで書け」と必ず書いてあると思うんだが、書かない奴が必ず一定数いるね。で、そいつの作品は確実に面白くない。

 作業のスピードアップのために「あらすじがしっかり書けてないやつはその次点で落とす」というルールを設定したいくらいだね。さすがにできんけど。

2:問題提起が遅い

 物語というものは、たいていなんらかの問題が持ち上がり、それが解決されるまでを描くものである。興味を引く「問題」をどのように読者に提供するかという点は話を作る上で非常に重要なわけだが、これがどんだけページを繰っても出てこない作品がある。

 冒頭からダラダラとくだらない会話が続いて、それでも「きっとなんかの伏線かもしれん」と思って読み続け、いざ問題が提起されてみるとそれまでの過程となんら関係がなかった、ということはままある。時間を返せと言いたい。問題提起が遅くとも、そこまでの内容が面白ければ問題ないんだが、まあそういうのはなかなかない。

3:日常から非日常への移行

 概してライトノベルにおいては、非現実的な事象が語られる。投稿作品ではなかなかトンチキなアイデアが多くて面白いね。まあトンチキなのは全然構わないんだが、トンチキであればあるほど、読者を信じさせるための裏打ちが必要となる。必要なはずなんだが、単にトンチキなアイデアをぽこっと放り込んでいるだけの作品が、また多い。

 主人公が、別の登場人物からトンチキな話を聞かされて、そのまま受け入れてしまうというのがよくあるパターン。そんな話を口頭だけで信じるかよ、と突っ込みたくなる。先にトンチキな現象を体験して、それから口頭説明……っていうんならわかるんだが。

4:一人称「俺」

 やったらよくみかける主人公像という奴がある。一人称が「俺」で、親が資産家かものすごく頭がいいかケンカが異常に強いか、等々の理由で斜に構え、世の中を舐めている。素行は問題児だが情に厚く、いざとなると「悪は許さねえ」とか言い出すタイプ。地の文では砕けた口語で語る。ユーモア感を出そうとしているが全然面白くないどころか段々むかついてくる、というパターン。

 まあ多い。おまえら電波で設定を共有しているのか、と言いたくなるくらい類似している。今回も既に三つ四つ見つけた。敵を見下して説教を始めるタイプですな。著者の願望を反映しているのか、それともハルヒのおかげでキョンを演じようとして失敗しているのか。

5:カテゴリーエラー

 あまり多くないが、たまに紛れ込む。不倫された妻が夫に復讐する話、をスニーカー大賞に応募してくるセンスは理解しがたい。

6:文法

 物語に直接関わってくるわけではないが、文法がなってないやつは概して面白くないね。「!」とか「?」のあとを一字開けないのはまだ許せるが、段落がおかしいのは許せんね。今回は、一文字下げる、二文字下げる、三文字下げるという三種類の段落を自在に操る奴を見かけた。文法に斬新なアイデアは必要ないわい。


 とりあえず思いつくのはこんなもんか。上の項目に引っかからず、でも面白くないってのも色々あるけど。でも少なくとも、面白かったと思ったやつは、上の項目には引っかかっていない。

 まあしかし下読み作業は楽しいね。面白くない作品に出くわすのも含めて。というか、面白くない作品の方が割合としては圧倒的に多いわけだが。
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by crax_alexey | 2006-11-25 16:05 | 仕事